2018年
街の色彩をつなぎエリアの統一感をつくる
女川町庁舎
東日本大震災において、甚大な被害を受けた宮城県女川町の高台に建てられた、庁舎・ホール・図書館等の複合施設の外装色彩計画です。本施設は、女川町中心部の高台住宅地と低地商業エリアをつなぐ位置に計画されました。
現地調査に訪れると、先行して整備された女川駅舎は明るい色調で、隣接する商業エリアは暗い色調を基調としていました。ひとつのエリアに色調の異なる建物が混在していることに私たちは課題を感じました。そこで本計画では周辺建物で使われている色彩を抽出し、ひとつの建物でつなぎ合わせることでエリア全体に色彩的な統一感を生み出したいと考えました。
実際の色彩計画にあたっては、建物の形態と連動した明快な配色計画を行い、各施設がどこにあるか直感的に理解できるようにしました。山側から海側へ水平に伸びる図書館のボリュームは高明度色とし、大きな壁面が現れるホールは落ち着きの感じられる低明度色としています。高明度色は駅舎と、低明度色は商業施設群とそれぞれ呼応しています。 建築の外装色彩に用いる色彩は、いずれも低彩度色です。自然の移ろいや利用者の活動が生き生きと見えるための背景を目指しました。
外装色彩と合わせて、サイン計画のカラーシステムを検討しました。女川町のシンボルカラーが青であり、周辺の漁港でも倉庫などに濃紺が多く見られたことから、メインのサインカラーは女川ブルーと名付けた濃紺を展開することにしました。女川ブルーを最上位に位置付けたカラーシステムを組み立て、サインボードやインテリアのアクセントウォールに展開しています。