豊かさとは、失った地域性
私たちは近代化とともに便利さを手に入れましたが、心の豊かさはどうでしょう。地域には地域の色がある。フランスのカラリスト、ジャンフィリップ・ランクロ氏の言葉を現代に生かしたいと考えています。都市の均質化が進む中で。先進技術を取り込みながら、また地域性とともにブランディングを高めることはできないか。日本においては景観法の制定により景観への意識高まりを見せているものの、数値化しコントロールする手法が広まって来ましたが、一方で色彩の楽しみや喜びを伝えていきたいと考えています。都市間競争が増している、いまいちど地域性に目を向ける時代が来ている。
色彩という視点からみる地域性の新しい解釈
東北の震災復興ではワークショップを通して考える機会を得ました。インドネシアジャカルタでの計画では戸建て住宅に用いられる屋根瓦や大地の土といった地域性と現代的な都市をどのように掛け合わせるか苦慮しました。確かな可能性を感じた。 気候、温度や湿度によっておどろくほど認識が異なる。 低層の建物と高層の建物では、白にたいする考え方も異なってくる。 文化の香る都市づくり。 色彩は建設費を増すことなく実現できる解決策です。
色彩ガイドライン・色彩基準の運用
大規模再開発計画においては、景観条例等により詳細な色彩計画の提示を求められる機会が増えています。色彩ガイドラインとして、大きく網を貼ることは一定の効果が期待できます。その一歩先、さらに一歩先の価値づくりを目指しています。一律に設定された基準ではカバーのできないことは、現地の環境を読み解くことが不可欠です。好き嫌いを超えて、関係性に耳を傾けることができるかどうか。 にぎわいの創出という言葉よく聞かれるが、・・・・
合意形成としてのビジュアライゼーション
これまで、知識と経験に基づいて計画してきたものの、共有することの難しいことが多くありました。CGアニメーションやVR高度なシミュレーションによって、合意形成が円滑になってきていることを実感しています。審議会での共有ツールとしても今後は普及することが想定されています。 特に海外プロジェクトにおいて文化圏の異なる関係者間での合意形成には直感的にわかるビジュアライゼーションは効果を発揮します。 また、ビジュアライゼーション技術の発達にともない、これまで培ってきた知識と経験をより広く活用してもらいたいと考えています。 複雑な形状が増えている中で、シミュレーションの解像度が求められている。BIM化の流れも進んでいる。 かつては計画を実現するための資料づくりがメインでしたが、最近はコンセプトを共有するためのツールとして、パンフレットやタブロイド、モーショングラフィックスによるアニメーションなどプロジェクトに応じて柔軟に対応します。
まとめ・今後のサービスアップ。景観配慮におけるカラーエンジニアリングの可能性
元来日本には繊細な色彩環境が広がっていました。適度なムラといったことをコントロールするために、データの活用やアルゴリズムの活用にチャレンジしてまいります。 気候や風土が映えるような色彩環境と、現代的なソリューションを掛け合わせる。常にサービスの向上を目指し、世界で展開してまいります。 生活環境として働く場として遊ぶ場として環境をどのようにとらえていくか。
色彩計画家 片岡照博