2016年
未来へつなぐ地域のカラーパレット
石巻市営門脇東・西復興住宅
東日本大震災において、津波の甚大な被害を受けた石巻市門脇地区に建てられた、復興公営住宅4棟の配色計画です。
色彩計画を行うにあたって、調査にはじめて訪れた際、あたり一面は広大な空き地でした。地域の方々に親しまれている日和山を中心とした周辺環境との調和とともに、復興のシンボルとして明快な配色計画が求められていることを実感しました。
近隣地域で産出される稲井石という灰褐色の石や、津波の被害を受けてもなお建ち続けているお寺の赤瓦、そういった地域の培ってきた色をひとつひとつ拾い上げ、最終的には基調色に暖色系の中明度の低彩度色を展開し、計画地全体の統一感を図ることとしました。
カラースキムとしては、4つの棟に対して、3つの色相を展開し、遠景から中景、近景へと歩みを進めるごとに多様な表情が生まれる配色を検討いたしました。
東北、そして石巻の冬は風の強い日、雪の降る日があります。そのような気候の中でも住まう人々の活力となるよう、要所要所ではアクセントとしてやや彩度を高めた配色を行っています。
「地域性を尊重するとともに地域の新しい姿を示すこと」 このことは被災地どこの地域でも求められている命題であると感じています。 今後も地域性を尊重した色彩計画に取り組んで参ります。