2014年ー2019年

災害復興と地域色

雄勝町災害復興における環境色彩計画

自然に囲まれた雄勝町
東日本大震災において甚大な被害を受けた、宮城県石巻市雄勝町の復興に関わる環境色彩計画です。高台に移転した16地区約100棟の戸建て住宅と庁舎・伝統産業会館・商業施設・消防署等の色彩計画を担当しました。

海と山に囲まれた雄勝町の歴史は古く、縄文時代から人々の営みがあったようです。四季折々に移ろう自然に囲まれた暮らしの情景を高台移転後も引き継ぐため、自然と調和した住環境の実現を目指しました。

ワークショップで見つけた雄勝のカラーパレット
リサーチと合わせて住民の皆さんとワークショップを複数回開催しました。当初は海外都市に見られるような、色とりどりの町並みを望む声も聞かれましたが、回を重ねるごとに雄勝らしい風景を掘り下げていく重要性を確認していきました。ワークショップを通して、「雄勝の風土に合わない鮮やかすぎる色を使わない」「単調に感じないよう適度な変化を持たせる」の2点を主な柱とすることが決まりました。

地域から抽出したオリジナルのカラーパレット、「硯鼠(すずりねず)」「牡蠣色(かきいろ)」「松皮色(まつかわいろ)」が導かれました。これらのカラーパレットを基本とし、立地条件や配棟計画によって適宜調整することで建物の外装色彩を決定していきました。

雄勝石を用いた中心部
雄勝では古くから玄昌石が産出されてきました。「雄勝石」と呼ばれるこの石は、瓦状に加工され、家屋の屋根や壁など集落のいたるところに用いられてきました。町の中心部にある伊勢畑地区では、外壁の一部に雄勝石を使用できることになりました。訪れる人々に雄勝石の可能性を感じてもらいたいという思いを込め、石を貼る位置やパターンを掛け合わせながら雄勝石の多様な使用方法を試みています。

動く自然と支える建物
雄勝の自然は季節折々に表情が変化し、日々発見の連続です。雄勝の自然が魅せるダイナミックな色の移ろいと、その色彩を支える建物の色の関係性を表現したいと思い、アニメーションを作成しました。

  • 所在地 宮城県石巻市
  • 事業主 石巻市
  • 主要機能 住宅 / 庁舎 / 商業 / 公共施設
  • 協働 雄勝スタジオ(日本大学 / 東京藝術大学 / 東北大学 /she)
  • 撮影 片岡照博
  • 業務内容 外装色彩計画 / ワークショップ
  • 担当デザイナー 片岡照博
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