2015年
石巻市河北地区に計画された復興公営住宅の外装色彩計画です。山と川の間に広がる水田として使われていた平地に、東日本大震災後、公営住宅と自力再建住宅を合わせて約400世帯が計画されました。
棟数が多く大規模な計画であるため、個別の計画に先立って全体の方向性を示すための地区計画および色彩ガイドラインを策定しました。公営住宅の約200戸に対しては、周囲の自然環境との関係を読み解きながらゾーンごとに個別の配色ルールを設定しました。たとえば山側のゾーンは落ち着きの感じられる中・低明度色を基調とするのに対し、川側のゾーンは中・高明度色を基調としています。具体的な素材検討時には6パターンのカラースキムを開発し、ゾーンごとにカラースキムの割合を設定しました。同じ配色が重なって見えないようシミュレーションを繰り返し、全体の調和を図りながら適度な変化の感じられる街並みを目指しました。建物の外壁色は全体のルールから設定する一方で、玄関前に立つポストの色は通りに彩りを与えるアクセントカラーとして各住民が自由に選択できるようにしています。
本計画では、まちに対する愛着の醸成を目指し、ガイドブック「かほくら手帖」を作成・配布しました。また工事途中では地元工務店組合の協力を得て縁台をつくるワークショップを開催。職人と住まい手が交流するひと時を楽しみました。